森林には木材を供給するだけでなく、水源の涵養や二酸化炭素の吸収・貯蔵による地球温暖化の緩和、土砂災害の防止、景観保全など様々な機能があります。
林業では一般的に、「伐採 → 地ごしらえ → 植栽 → 下刈り → 除伐 → 枝打ち → 間伐」の作業が循環して繰り返し行われ、森林を育て木材を生産し、森林の機能を高める大切な役割を担っています。
森林の成長とともに、林業の仕事は移り変わり続いていきます。それらの作業すべてが森林の力を引き出し、環境をつくり出すことにつながります。
地ごしらえは、木を伐採した後に林地に残された枝や木の先端部などを、苗木を植えやすいように整理し、棚状に並べる作業です。こうすることで朽ちた木や葉が土壌の栄養分となり、土壌の乾燥を防ぎ、植林された苗木の保護の役目を果たします。
植栽は、地ごしらえをした林地に苗木を植える作業です。植える樹種は、目的に応じてスギ、ヒノキ、マツなどの針葉樹、クヌギ、ナラ、イチョウなどの広葉樹、クリや柿などの果樹など様々です。木材として利用されるのは、スギやヒノキが大半です。
下刈りは、苗木の生育を助けるために、周囲の下草や灌木を刈り払い成長に必要な日光を確保する作業です。特に植物の成長が著しい6月から9月に行われます。植栽後6年目くらいまで行いますが、苗木の生育状況や樹種によっては10年目くらいまで行うこともあります。周囲の下草だけでなく苗木に巻き上がったつるやカズラなども刈らなければなりません。
除伐は、込み合った苗木のうち生育の悪いものや形状のよくないものを伐ったり、灌木を刈る作業です。植栽後10年以上たつと、苗木が成長し木々の枝同士が競り合って互いの生育を妨げたり、下刈り期間が終了後に周囲の灌木が成長して、苗木が被圧されたりすることを防ぐために行います。
枝打ちは、無節の良質材の生産を主目的として、枯れ枝やある程度の高さまでの生き枝を付け根付近から除去する作業です。枝打ちをすることで林内に光が届くようになり、下層植生を増やして表土の流出を防ぐ効果もあります。ただし最近は製材技術の発達や集成材の普及にともなって、枝打ちの作業は減少傾向にあります。
間伐は、苗木が成長して込みすぎてきた森林を適正な密度で、健全な森林に導くために、また利用できる大きさに達した立木を徐々に収穫するために行う間引き作業です。品質のよい木材を生産するためには欠かせない最も大切な作業と言えるでしょう。
将来どのような森林にしたいか設計しながら、何十年もかけて育った木を形質が悪いものや劣勢木などを優先に選木し伐倒していくわけですから、選木の確かな技術が要求されます。
主伐は、利用期に達した樹木を伐採し収穫する作業です。間伐と異なり、主伐の後に「植栽」をして、次の世代の樹木の育成を行います。また、伐採を行う時には木の重心や周囲の木の枝の張り具合、地形や風の状況など、様々なことに注意を払います。
毎回異なる条件の中で、安全に作業を行うためには高度な技術が必要です。